「食費はいくらまで?」「毎月どれくらい貯金すればいい?」と、家計の予算に迷うことはありませんか。
そんなとき、ひとつの参考になるのが「家計の黄金比」です。
代表的なのが、手取り収入を生活に必要なお金50%、自由に使うお金30%、貯蓄20%に分ける「50:30:20」の考え方です。
ただし、黄金比はすべての家庭に当てはまる正解ではありません。
この記事では、家計の黄金比の考え方から手取り別の金額、自分の暮らしに合う予算へ調整する方法まで紹介します。
家計の黄金比とは
家計の黄金比とは、手取り収入に対して「それぞれの支出へどれくらい使うか」を割合で考える方法です。
家賃は何%、食費は何%と細かく決める方法もありますが、まずは大きく3つへ分けると管理しやすくなります。
代表的なのが「50:30:20ルール」です。
- 50%:生活に必要なお金
- 30%:楽しみや自由に使うお金
- 20%:貯金・資産形成など
例えば、毎月の手取りが30万円なら、15万円を生活に必要なお金、9万円を自由費、6万円を貯蓄へ回すイメージです。
非常にシンプルなので、「家計簿はつけているけれど、何にいくら使えばいいかわからない」という人にも使いやすい考え方です。
国が決めた基準ではない
最初に知っておきたいのは、50:30:20が日本の公的機関によって決められた「正しい家計割合」ではないことです。
あくまで、家計のバランスを考えるために広く使われている目安のひとつです。
家族構成や住んでいる地域、家賃、車の有無などによって必要な生活費は変わります。
数字へ無理に合わせるのではなく、自分の家計を確認するための物差しとして使いましょう。
平均とも違う
家計の黄金比は、世の中の家庭が実際に使っている平均割合とも違います。
平均は「実際にどれくらい使われているか」を表す数字です。
一方、黄金比は「こんな配分なら家計を整理しやすい」という目安です。
平均と黄金比は目的が違うため、同じ数字になる必要はありません。
50:30:20の考え方
50:30:20を使うときに重要なのは、支出を細かく分類しすぎないことです。
まずは「必要」「自由」「将来」の3つへ分けてみましょう。
50%は生活に必要なお金
最初の50%は、暮らしていくうえで必要になる支出です。
例えば、次のようなものがあります。
- 家賃・住宅ローン
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費
- 日用品費
- 通勤や生活に必要な交通費
- 必要な保険料
- 医療費
- 子どもの生活や教育に必要な支出
「払わなければ生活に困るか」を基準に考えるとわかりやすくなります。
ただし、必要な支出だからといって、すべて見直せないわけではありません。
スマホ料金や保険、住居費など、必要ではあるものの現在の契約が高すぎるケースもあります。
30%は自由に使うお金
次の30%は、なくても生きてはいけるけれど、生活を楽しむために使うお金です。
- 外食
- 旅行
- 趣味
- ゲームや娯楽
- 美容
- 服
- カフェ
- 交際費
- 欲しいものを買うお金
ここを「全部無駄」と考えないことが大切です。
家計を整える目的は、楽しみをゼロにすることではありません。
自分が使える範囲をあらかじめ確保しておけば、必要以上に罪悪感を持たずにお金を使えます。
20%は将来のお金
残り20%は、将来のために残すお金です。
普通預金などへの貯金だけでなく、長期的な資産形成へ回すお金を含めて考える方法もあります。
例えば、手取り30万円なら20%は6万円です。
その6万円をすべて貯金しても構いませんし、現金で3万円を貯め、長期間使う予定のない3万円を資産形成へ回す考え方もあります。
ただし、急な出費へ対応できる現金がほとんどない場合は、まず手元資金を確保することを優先したほうが家計は安定しやすくなります。
手取り別の黄金比
50:30:20を実際の金額にすると、家計のイメージがつかみやすくなります。
代表的な手取り額で計算してみましょう。
手取り20万円
- 生活に必要なお金:10万円
- 自由に使うお金:6万円
- 貯金・資産形成:4万円
一人暮らしで家賃が高い地域に住んでいる場合、生活費10万円に収めるのは難しいことがあります。
例えば家賃だけで7万円なら、残り3万円で食費や光熱費、通信費などを払わなければなりません。
この場合は、50%を絶対に守るのではなく、生活費の割合を増やして調整しましょう。
手取り25万円
- 生活に必要なお金:12万5,000円
- 自由に使うお金:7万5,000円
- 貯金・資産形成:5万円
毎月5万円を貯めれば、単純計算で年間60万円になります。
ただ、現在ほとんど貯金できていない人が、いきなり5万円へ設定すると苦しくなる可能性があります。
最初は2万円や3万円から始め、生活に余裕があるとわかってから増やしても問題ありません。
手取り30万円
- 生活に必要なお金:15万円
- 自由に使うお金:9万円
- 貯金・資産形成:6万円
手取りが増えても、必ず50:30:20にできるとは限りません。
子どもがいる家庭や車が必要な家庭では、生活に必要な支出が15万円を大きく超えることもあります。
一方、一人暮らしで住居費が低ければ、生活費を50%以下に抑えて貯蓄を多くすることも可能です。
手取り40万円
- 生活に必要なお金:20万円
- 自由に使うお金:12万円
- 貯金・資産形成:8万円
自由費12万円をすべて使い切る必要はありません。
趣味や外食にそれほどお金を使わない家庭なら、余った分を貯金へ回せます。
黄金比は「30%使っていい」という上限の参考であり、「30%使わなければ損」という意味ではありません。
手取り50万円
- 生活に必要なお金:25万円
- 自由に使うお金:15万円
- 貯金・資産形成:10万円
収入が増えると生活水準も上がりやすくなります。
家賃、外食、車、旅行などが少しずつ豪華になり、手取り50万円でもほとんど残らないことがあります。
収入が増えたときほど、割合で確認すると生活費が膨らみすぎていないか気づきやすくなります。
黄金比に合わなくても大丈夫
自分の家計を計算して、「生活費が70%もある」と落ち込む必要はありません。
黄金比は採点表ではないからです。
むしろ重要なのは、なぜその割合になっているのかを確認することです。
一人暮らしは住居費が高くなりやすい
一人暮らしでは、家賃や光熱費を一人で負担します。
二人暮らしになったからといって家賃や電気代が必ず2倍になるわけではないため、一人暮らしは収入に対する固定費の割合が高くなりやすくなります。
特に都市部では、生活に必要なお金を50%以内へ収めるのが難しいケースもあります。
その場合は、60%や70%になっても、それだけで家計管理に失敗しているわけではありません。
子育て中は必要支出が増える
子どもがいる家庭では、食費、衣服、保育、教育などの支出が増えます。
成長に合わせて必要なお金も変わるため、以前は50:30:20だった家計が崩れることもあります。
生活が変わったら家計割合も変わって当然です。
「昔はもっと貯金できたのに」と責めるのではなく、現在の家計に合わせて割合を作り直しましょう。
車が必要な地域もある
都市部では車を持たずに生活できても、地域によっては通勤や買い物に車が欠かせません。
車両費、保険、ガソリン、駐車場、車検などを考えると、生活に必要な支出の割合は上がります。
車が必要なのに「黄金比を守るため」と手放す必要はありません。
必要な支出を把握したうえで、別の部分で調整できないか考えましょう。
収入が低い時期もある
転職直後、育休中、時短勤務中など、一時的に収入が少なくなる時期もあります。
収入が減れば、家賃など同じ金額の支出でも割合は高くなります。
こうした時期まで20%貯金を無理に守り、食費や必要な生活費を削りすぎる必要はありません。
家計割合は、そのときの暮らしに合わせて変えて構いません。
自分の黄金比を作る方法
50:30:20を参考にしながら、自分に合った家計割合へ調整してみましょう。
1.手取り収入を確認する
まず基準にするのは、額面の給料ではなく実際に使える手取り収入です。
給与明細や銀行への振込額を確認してみましょう。
共働きで家計をまとめているなら、夫婦それぞれの手取りを合計して考える方法もあります。
2.支出を3つに分ける
直近1〜3カ月のカード明細や銀行履歴を見て、支出を次の3つへ分けます。
- 生活に必要なお金
- 自由に使ったお金
- 貯金・資産形成
細かく分類する必要はありません。
まず大きな割合を知ることが目的です。
家計管理が苦手な場合は、お金の管理ができない人の特徴とおすすめの管理方法も参考にしてみてください。
3.それぞれの割合を出す
例えば手取り30万円で、生活に必要なお金が18万円、自由費が9万円、貯金が3万円だったとします。
割合にすると、60:30:10です。
50:30:20とは違いますが、ここで「ダメな家計」と判断する必要はありません。
見るべきなのは、60%になっている生活費の中身です。
4.減らせるところだけ探す
生活費60%のうち、家賃が高いのか、通信費なのか、保険なのかを確認します。
すべて必要で、今の暮らしに納得しているなら、60%でも構いません。
一方、使っていないサービスや現在の生活に合わない契約があるなら、そこだけ見直します。
黄金比に近づけるために食事まで無理に削る必要はありません。
5.自分の比率を決める
実際の生活を確認した結果、60:20:20が自分に合うなら、それを自分の家計の基準にして構いません。
子育て中なら70:20:10、一人暮らしで固定費が低ければ50:20:30という家庭もあるでしょう。
家計の黄金比は「正しい数字を当てるゲーム」ではなく、自分が無理なく暮らせる配分を見つけるためのきっかけです。
家計を整えるコツ
家計割合を計算して終わりではありません。
気になる部分が見つかったら、一つずつ整えていきましょう。
固定費から確認する
生活に必要なお金の割合が高い場合、最初に確認したいのが固定費です。
家賃、通信費、保険、サブスクなどは、一度変更すると翌月以降も支出が減りやすくなります。
ただし、必要なサービスまで削る必要はありません。
使っていないものや、現在の生活に合っていない契約を優先しましょう。
自由費はゼロにしない
貯金を増やそうとして、自由費30%をいきなり5%まで下げるような予算は長続きしにくくなります。
外食、趣味、旅行などに使うお金も生活の一部です。
削るなら、満足度の低い支出からにしましょう。
「使ったことすら覚えていない支出」を減らし、「使ってよかったと思える支出」を残すほうが続けやすくなります。
貯金は先に分ける
20%貯めたいと思っていても、月末に残そうとすると使ってしまうことがあります。
毎月の貯金額を決めたら、給料日の直後に取り分ける方法があります。
具体的な仕組みは、先取り貯金のやり方と無理なく続く金額の決め方で詳しく紹介しています。
特別費を忘れない
家計の割合が毎月きれいに収まっていても、車検や旅行、家電の買い替えがある月に一気に赤字になることがあります。
毎月ではない支出は、普段の生活費と別に準備しておきましょう。
特別費の管理については、特別費で毎月赤字にならないための貯め方と管理方法も参考になります。
毎月ぴったり合わせない
50:30:20を採用したとしても、毎月ぴったり50%、30%、20%にする必要はありません。
旅行へ行った月は自由費が増えることがありますし、家電を買い替えれば生活費が増えることもあります。
一カ月だけを見るのではなく、数カ月から一年程度でバランスを確認するほうが現実的です。
毎月予算を超えてしまう場合は、毎月予算オーバーする原因と家計を予算内に収めるコツも確認してみてください。
よくある質問
家計の黄金比は50:30:20が正解?
正解というわけではありません。
50:30:20は家計を考えるときに使われる代表的な目安のひとつです。
家族構成や家賃、住んでいる地域などによって適切な割合は変わるため、自分の家計に合わせて調整してください。
50%には何を入れる?
家賃、食費、水道光熱費、通信費、日用品、必要な交通費など、生活するうえで必要になる支出を入れます。
判断に迷ったら、「これを払わなければ日常生活に困るか」で考えると分けやすくなります。
外食費は50%と30%のどちら?
家庭によって分け方が変わります。
普段の食事として必要な外食なら生活費、休日の楽しみとしての外食なら自由費として考える方法があります。
分類に時間をかけすぎず、毎月同じルールで管理できれば問題ありません。
貯金できないなら20%を守るべき?
無理に20%へ合わせる必要はありません。
現在貯金がほとんどできていないなら、最初は5%や10%から始めても構いません。
続けられる金額を優先し、家計に余裕が出てから少しずつ増やしましょう。
家賃だけで手取りの30%を超えているときは?
家賃が高いからといって、すぐ引っ越す必要はありません。
通勤時間や住環境、引っ越し費用なども含めて考える必要があります。
まず家計全体を確認し、通信費やサブスクなど簡単に見直せる支出がないか探してみましょう。
一人暮らしでも50:30:20にできる?
できますが、家賃などを一人で負担するため、生活費50%に収めにくいケースがあります。
60:20:20など、自分の生活に合う割合へ変えて構いません。
割合そのものより、収入以内で生活でき、少しずつでも将来のお金を残せているかを確認しましょう。
黄金比から大きく外れていたらどうする?
まず、割合が大きい項目の中身を確認してみましょう。
必要な支出なら無理に削る必要はありません。
一方、使っていないサービスや満足度の低い支出が含まれているなら、そこから見直します。
一度に黄金比へ戻そうとせず、数カ月かけて整えていけば十分です。
まとめ:自分の黄金比を作ろう
家計の黄金比として代表的なのが、手取り収入を「生活に必要なお金50%・自由費30%・貯蓄20%」に分ける50:30:20ルールです。
ただし、この割合はすべての家庭に当てはまる絶対的な基準ではありません。
一人暮らし、子育て世帯、車が必要な家庭など、暮らしによって必要な割合は変わります。
まず現在の支出を3つに分け、自分が何%ずつ使っているか確認してみましょう。
そのうえで、生活に支障のないところだけを少しずつ調整すれば十分です。
家計の黄金比で一番大切なのは、50:30:20を守ることではなく、自分が安心して暮らしながらお金も残せる割合を見つけることです。

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